関西学院大学大学院 教授 徳崎 進

・                          E I 創造性マネジメント・インスティチュート代表

創造的な意思決定がもたらす経営のイノベーション

 創造的な人材の育成は、不断のイノベーションを求められる現代の企業経営における最も重要な課題の1つです。合理性を前提に置いてきた伝統的な理論の限界が露呈しつつある中、前例にとらわれない意思決定者を育成するための教育システムをその要衝とする創造性マネジメント」(creativity management)を、会計学を内包する経営学と心理学、教育学の知見及び経験の融合を計りつつ非合理性を加味した観点から追究し、ワークショップ方式を用いて教育・訓練を展開する教育経営学アプローチのパイオニアとして、指導にあたっています。

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 創造性の本質は、新奇(独創的)かつ有用な(価値をもたらす)問題解決にあり、困難な問題を解決する意思決定は創造的な側面を有しています。このため、創造的な思考及び技能を有する人材の育成は様々な学際領域でパラダイム・チェンジを生じさせており、ビジネススクール教育の中核科目の1つであり、意思決定を軸に経営管理に関わる優れた理論や技術を取り込んで広大なドメインを形成してきた「管理会計学」の分野においても新しい潮流となっています。 

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 近年に私が提唱した 創造性マネジメントのシステムモデル の要衝である創造性教育の柱は、①専門知識の増強と並行しての②創造的思考の涵養と③創造技法の習得、④創造的態度の育成です。若き日に国際金融ビジネスの最前線を経た経営学者であるとともに、心理学の研究成果を導入した知能・英才教育の現場への関与、教育学の分野の人材育成で重視されている演劇技法への精通、表現のプロとしての俳優経験、というユニークなバックグラウンドに裏打ちされた、創造的人材の輩出のための教育プログラムの創出・展開は、私の経営学者としてのキャリアの集大成であるとともに、ライフワークといえるものです。